円城塔『道化師の蝶』講談社
 円城作品では飛び抜けてわかりやすい。そのうえ普通に面白いので、人に薦めやすい。広げよう奇想の輪。
田中慎弥『切れた鎖』新潮文庫
 退屈そうだけど一応消化しとくかと思ったら、表題作の語りは予想外に手が込んでいて、一気に読まされてしまってくやしい。
津原泰水『バレエ・メカニック』ハヤカワ文庫JA
 傑作すぎて今さら読んだっていうのが恥ずかしい。筒井康隆めいた現実と虚構の混濁から始まり、サイバーパンクに至るっていう構成もさることながら、それを書ききる筆致もすごい。
パオロ・バチガルピ『ねじまき少女 上・下』田中一江・金子浩訳、ハヤカワ文庫SF
 環境破壊の進んだ未来で第三世界を舞台に少女型アンドロイドが活躍、って話ではまったくないから詐欺だと思った。いい意味で。
グレッグ・イーガン順列都市 上』山岸真訳、ハヤカワ文庫SF
 引きがおそろしい。感想は下巻を読んでから。