円環少女完結

 ●小林秀雄『作家の顔』新潮文庫
 ●ジェームズ・フィン・ガードナー『政治的に正しいおとぎ話』デーブ・スペクター&田口佐紀子訳、真野流監修、DHC
 ●長谷敏司円環少女』十巻〜十三巻、角川スニーカー文庫
 円環少女シリーズがついに完結したので、最後の四冊を一気に読んだ。もう何か面白いというより凄い。ただ、八咬とオルガの出番がもう少し読みたい…!
 単なる生意気な子供だと思ってたメイゼルが魅力的になっていくのは、仁の視線(を表現する地の文)がいつのまにか変化してるせいだ、きっとそうだ。
 百合っぽいキャラクターが基本的には報われない世界だと思ってたけど、最終巻ではそれぞれにちょっとだけ希望が見えた気がする。相当歪んでいるとはいえイリーズに憧れていた九位が認められたり。
 神和瑞希の内面、きずなに対する関係性がようやくはっきり分かって、文字通り「夫」だったんだなと納得した。瑞希のエピソードの最終行とか普通に読めばかなり切ないけれど、終末で増幅器が仁に明かした事実を曲解すれば、いつか報われたと考えてもいい、のか。描かれている時点ではきずなは瑞希を「神和さん」とか呼んでいるのに…w
 リュリュとエレオノールも、あれで良かったんだろう。でもせめてもう少し一緒にいて欲しかった。
 
 「政治的に〜」は別に、円環少女がかなり政治的に正しいこととは全く関係なく読みましたw 身につまされる。
 それにしても、円環少女はかなり社会的な視線への配慮が行き届いている小説なのに、まさかメイゼルとあんなことになるとは思わなかった。完全に油断してた。メインヒロインはきずなで、メイゼルのエピソードは読者をほのぼのさせる冗談だとすら思ってた。